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第99回装苑賞を受賞した谷口ひなのさんのポートフォリオを、ポイントとともに紹介します。

ポートフォリオって何?

作品のテーマやコンセプト、デザイン画、素材のサンプル、過去の制作物や自己紹介などをわかりやすく1冊にまとめたファイル。デザイナーがどんな思いや意図をもって作品を作ろうとしているのかを、審査員へ伝えるために作るプレゼンテーション用アイテムです。必須事項さえ押さえれば、ファイルの種類やサイズ、ページ数などはデザイナーの自由。まずはポートフォリオ審査を通過するために、自己流でもいいので、自由にポートフォリオを作ってみよう。

表紙は、谷口さんのように装飾された立体的なデザインのものから、テーマを際立たせたシンプルな物まで、候補者によって様々。

〔重要〕:必要事項を必ず明記しよう。
ポートフォリオを審査員に確実に届けるために、応募要項に記されている必要事項の明記を忘れずに。
希望する審査員名、テーマ、氏名、年齢、職業(学生は学校名)、住所、電話番号、メールアドレスを必ず明記してください。
1次審査通過のお知らせは、電話連絡となります。

POINT 1:まずはテーマを考えよう。
まず初めに、自分がどんな作品を作りたいのかを考えて、テーマとなる言葉を設定します。
身の回りの出来事や最近気になっているカルチャー、大好きな趣味や尊敬するクリエイターの作品など、様々なモチーフを自分の周辺から拾い集めて、テーマにしてください。

POINT 2:次にコンセプトを練ってみよう。
テーマが固まってきたら、なぜそのテーマに至ったのか、その理由や自身の考えをコンセプトとして言葉にしてみます。文章が苦手な人は、モチーフの写真や関連する素材を集めたコラージュを添えてみるのもいいでしょう。

「monochrome」をテーマに、色に頼ることなく、黒の濃淡や光と影のみで見る人の想像力を刺激することに挑戦した谷口さん。光と影のコントラストが鮮明なモノクロの力を利用して、立体感のあるシルエットを表現しようと考えた。

POINT 3:イメージをまとめてみよう。
テーマをもとに、そこから浮かんでくるイメージを写真やイラストなどを使ってまとめてみます。頭の中にある要素をビジュアルとして整理して見せることで、作品の方向性や伝えたいことがよりわかりやすくなります。

形や質感、コントラストの強調など、モノクロの魅力をイメージと言葉を使って簡潔にまとめた。モノクロとカラーのイメージを並べることで、違いがわかるようなレイアウトを意識している。

POINT 4:テーマをデザインに昇華してみよう。
次にデザイン画を描いてみます。どんな服を作りたいのか、そのデザイン画を実際に形にすることができるのか、の2点が重要なポイント。装苑賞は最終的に3体のミニコレクションでの発表となるので、必ず3枚以上のデザイン画が必要です。

テーマを実際にデザインに展開させるとどうなるのか、綿密なデザイン画で表現。2体のサイズ感をそろえて描くなど、見やすいように工夫されている。

POINT 5:完成イメージを伝える。
デザイン画を描いたら、完成イメージを伝えるための要素を追加してみます。例えば素材サンプルを紹介することで、デザイン画がどんな服になるのか、見る人の想像を膨らませることができます。

自身が過去に製作した作品の写真とデザイン画を並べて配置。同じテーマで作成した作品の写真を載せることで、完成イメージが想像しやすいようにしている。

POINT 6:余裕があれば、プラスαの要素を追加してみよう。
●素材サンプルの説明を入れる
●関連の資料を集め、テーマのモチーフを深く考察した、リサーチのページを入れる
●デザイン画を実物にするための研究過程を載せたページを入れる
●伝わりやすいページネーションを考えてみる
●印象的なレイアウトに挑戦してみる

ポートフォリオは起承転結のある一冊の本と同じです。初めてトライする場合は、1~5の作り方のとおりでも大丈夫。ポートフォリオ経験者や時間に余裕のある方は、ぜひいろいろな作り方を試してみてください。プロのように完璧である必要はありません。
デザイナーの熱い思いが込められていれば、審査員に思いは通じます。

谷口ひなの
2004年、愛知県生まれ。2022年、名古屋ファッション専門学校 テクニカルクリエーション科入学。2025年、同学校卒業。

※第99回装苑賞公開審査会の様子はこちら

photographs:Josui, Norifumi Fukuda, Jun Tsuchiya(all B.P.B.)

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