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第93回装苑賞を受賞したソン・セイさんのポートフォリオを、ポイントとともに紹介します。

ポートフォリオって何?

作品のテーマやコンセプト、デザイン画、素材のサンプル、過去の制作物や自己紹介などをわかりやすく1冊にまとめたファイル。デザイナーがどんな思いや意図をもって作品を作ろうとしているのかを、審査員へ伝えるために作るプレゼンテーション用アイテムです。必須事項さえ押さえれば、ファイルの種類やサイズ、ページ数などはデザイナーの自由。まずはポートフォリオ審査を通過するために、自己流でもいいので、自由にポートフォリオを作ってみよう。

ソン・セイさんのポートフォリオの表紙は、デザインソースとなった歌川国芳の上下絵「両面相」を切り抜いて貼りつけている。

〔重要〕:必要事項を必ず明記しよう。
ポートフォリオを審査員に確実に届けるために、応募要項に記されている必要事項の明記を忘れずに。
希望する審査員名、テーマ、氏名、年齢、職業(学生は学校名)、住所、電話番号、メールアドレスを必ず明記してください。
※1次審査通過のお知らせは、電話連絡となります。

POINT 1:まずはテーマを考えよう。
まず初めに、自分がどんな作品を作りたいのかを考えて、テーマとなる言葉を設定します。
身の回りの出来事や最近気になっているカルチャー、大好きな趣味や尊敬するクリエイターの作品など、様々なモチーフを自分の周辺から拾い集めて、テーマにしてください。

POINT 2:次にコンセプトを練ってみよう。
テーマが固まってきたら、なぜそのテーマに至ったのか、その理由や自身の考えをコンセプトとして言葉にしてみます。文章が苦手な人は、モチーフの写真や関連する素材を集めたコラージュを添えてみるのもいいでしょう。

アルチンボルド展で初めて見た上下絵に刺激を受け、視覚芸術に興味を持ったソンさん。そこからテーマを「上下絵」と定め、ポスターやタイポグラフィ、デジタルアートなどをリサーチ。最終的にデザインソースである歌川国芳の上下絵「両面相」へとたどり着いた。

POINT 3:イメージをまとめてみよう。
テーマをもとに、そこから浮かんでくるイメージを写真やイラストなどを使ってまとめてみます。頭の中にある要素をビジュアルとして整理して見せることで、作品の方向性や伝えたいことがよりわかりやすくなります。

洋服としてデザインせずに、「両面相」の絵をそのまま生かしたデザイン画がコンセプチュアル。無機質なボディに絵を載せたデザイン画は、作品の大きさやコンセプト、ダイナミックさを見る人にわかりやすく伝えている。

POINT 4:テーマをデザインに昇華してみよう。
次にデザイン画を描いてみます。どんな服を作りたいのか、そのデザイン画を実際に形にすることができるのか、の2点が重要なポイント。装苑賞は最終的に3体のミニコレクションでの発表となるので、必ず3枚以上のデザイン画が必要です。

無縫製で作品を作るため、ソンさんが選んだ素材は裁ち切りでもほつれないビニールやネオプレンなどで、洋服ではあまり使われないテキスタイルに着目した。幾何学模様にカットされた布を手作業で一つ一つつなげていった。

POINT 5:素材を考えてみよう。
デザイン画を描いたら、どんな素材で服にしたいのかを考えます。素材サンプルはデザイン画がどんな服になるのか、見る人の想像を膨らませるサポートアイテム。あくまでサンプルなので、実物制作の際に素材を変更することは可能です。

過去に制作した作品を、自ら撮影したファッション写真でアピール。今まで取り組んできたコンセプトでも、装苑賞では新しい発想のもと、さらにブラッシュアップした作品を提示。過去作品の焼き直しではないところも高評価。

POINT 6:余裕があれば、プラスαの要素を追加してみよう。
●関連の資料を集め、テーマのモチーフを深く考察した、リサーチのページを入れる
●デザイン画を実物にするための研究過程を載せたページを入れる
●伝わりやすいページネーションを考えてみる
●印象的なレイアウトに挑戦してみる

ポートフォリオは起承転結のある一冊の本と同じです。初めてトライする場合は、1~5の作り方のとおりでも大丈夫。ポートフォリオ経験者や時間に余裕のある方は、ぜひいろいろな作り方を試してみてください。プロのように完璧である必要はありません。
デザイナーの熱い思いが込められていれば、審査員に思いは通じます。

第93回装苑賞受賞作品「上下絵」

ソン・セイ
1984年生まれ、中国・王林省出身。看護師として働いた後、ファッションを学ぶために日本へ。文化学園大学服装学部服装造形学科(現・ファッションクリエイション学科)に入学。アパレルメーカーに勤務中。

photographs:Josui, Jun Tsuchiya(all B.P.B.)

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